SaaSのためのGoogle — 重要な理由と使い方
Googleのエコシステム(Search Console、GA4、Business Profile、Merchant Center、Trends)を活用して、見つけてもらい、行動を計測し、2025年にSaaSを成長させるための初心者向けガイド。
SaaSにGoogleが重要な理由
Googleは、人々が疑問を投げかけ、解決策を見つける場所です。SaaSにとってGoogleでの可視性を獲得することは、次の2点につながります。
- 時間とともに積み上がる質の高いトラフィック
- ユーザーが何を求め、どう見つけたかの洞察(コンテンツやページ、オンボーディング改善に直結)
2025年時点で、Googleは世界のウェブ検索の約90%(モバイル+デスクトップ)を担います。オーガニック掲載は無料です。Search Essentialsに沿って、people‑firstなコンテンツ、クロール可能でモバイルに優しいページ、良好な体験を提供し、操作的な手法は避けましょう。
- 検索エンジンシェア:https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share
- Search Essentials(方針と技術の基本):https://developers.google.com/search/docs/essentials
小手先は不要です。必要なのは適格性、発見性、ページ体験、有用なコンテンツ。Googleの公式ツールが、直すべき点と来訪後の行動を教えてくれます。
Googleのツールキット(SaaS成長)
Google Search Console(GSC)
SEOのコントロールルーム:検索クエリ、表示回数、クリック、掲載順位/クロール・インデックス問題/Core Web Vitals/構造化データの適格性を把握。データはGoogle検索由来(タグ不要)。サイトマップ送信、URL検査、再クロール依頼が可能。
Google Analytics 4(GA4)
サイト内の行動分析:ユーザー、セッション、イベント、コンバージョン(全トラフィック源)。タグ or Google Tag Managerが必要。イベントベースモデル。GSCを補完し、来訪後の行動を説明します。
Google ビジネス プロフィール(GBP)
ローカル可視性(オフィス、トレーニング、地域フォーカス)が重要なら、検索/マップでの露出に有効。ランキングは「関連性・距離・知名度」。カテゴリ・営業時間の正確性、写真、レビュー管理が鍵。
Merchant Center + 製品の構造化データ
製品(ハードウェア、グッズなど)を扱うなら、Merchant CenterでGoogle各面の無料掲載が可能。MCを使わなくても、Product schemaでリッチリザルトが解放され得ます。2024年には製品バリアントのマークアップ対応が拡張されました。
- 無料掲載の概要:https://support.google.com/merchants/answer/13889434
- バリアント対応(schema):https://www.schemaapp.com/schema-markup/google-expands-structured-data-support-for-product-variants/
Trends とキーワードプランナー
Trendsで上昇トピックや季節性を把握。キーワードプランナーでアイデアと概算ボリューム(Google Adsの設定・請求の完了が必要な場合あり。広告出稿は必須ではありません)。
PageSpeed Insights(PSI)と Core Web Vitals(CWV)
CWVは実ユーザーの速度とUXに焦点:LCP(読み込み)、INP(インタラクション;2024年にFIDから置換)、CLS(視覚安定性)。目標:LCP ≤ 2.5s、INP ≤ 200ms、CLS < 0.1。PSIで診断、GSCでモニタリング。
Looker Studio
GSC + GA4(他データも可)をブレンドし、SEOクリック→登録/コンバージョンの可視化と進捗管理に活用。
- Looker Studio:https://lookerstudio.google.com
実践プレイブック(2025年版)
1)基礎固め(適格性とポリシー)
- Search Essentialsに従い、スパム的手口(リンクスキーム、低品質コンテンツ量産)を避ける。2024年3月、期限切れドメイン悪用・大規模コンテンツ悪用・サイト評判悪用が特に対象に。
- 人に役立つ、信頼できるコンテンツを作る。専門性と有用性が長期的に効く。
2)発見とインデックスを確実に
- インデックス:GSCレポートで問題を修正し、主要ページの登録を担保。
- XMLサイトマップ:提出して更新維持。
- URL検査:重要な新規/大幅改修ページに対し、状況確認とインデックス依頼。
- 誤ったブロックを回避:robots.txtはクロール制御であり、インデックス制御ではありません。機密はnoindexや認証で。
3)ページ体験(Core Web Vitals)を最適化
- 目標:LCP ≤ 2.5s、INP ≤ 200ms、CLS < 0.1(実ユーザーp75)。
- PSIで診断(大きな画像、長時間タスク、レンダー阻害スクリプト)。テンプレートに跨る構造的問題を優先対応。
- 注:INPは2024年にFIDから置換。初回入力後も継続して軽快に。
4)構造化データ(schema)を実装
- ガイドライン遵守とRich Results Testでの検証。
- 関連タイプ:Article(ブログ/ドキュメント)、Event(ウェビナー等)、ProductまたはSoftwareApplication(プラン/機能)、Organization(サイト全体情報)。
- 変更点:HowToは廃止、FAQは権威サイトに限定的—戦略の柱にしない。
- 製品バリアント(該当時)はProductGroupスタイルで対応可能。
5)サイト構造と内部リンクを強化
- 明確なURL、意味のあるアンカーのクロール可能リンク、正確なcanonical、多言語はhreflang。
- 孤立ページを避け、リンク切れを修正。ナビゲーションに沿うロジカルな階層に。
6)ローカルSEO(該当時)
- GBPを作成/請求し、適切なカテゴリ、営業時間(祝日含む)、写真、簡潔な説明を整備。
- レビューを促し返信する。内蔵チャット/通話履歴は2024年に廃止。一部地域でWhatsApp/SMSリンクが利用可能。
7)EC考慮(製品販売がある場合)
- Product schema(価格、在庫、配送/返品)を実装し、Rich Results Testで検証。
- Merchant Centerを設定し無料掲載に参加。GSCの「Merchant listings」レポートを監視。
- 実店舗があれば、無料ローカル掲載/ローカル在庫を検討。
8)需要とトピックを継続的に調査
- Trendsで語彙/季節性、キーワードプランナー/他ツールでボリュームと関連語。
- 高意図(価格・比較)と教育系の両輪で、提供価値に結び付くコンテンツを作成。
9)計測と反復
-
GSC:Performance(クエリ/CTR/順位)、インデックス/カバレッジ、クロール統計。Search Status Dashboardもチェック。
-
GA4:主要コンバージョン(登録、デモ、購入)を定義・計測。エンゲージメントとパスを把握。EEA向けにはConsent Mode v2を実装。
-
Looker Studio:GSC + GA4をブレンドし、SEOクリック→登録を可視化。高クリック・低CVRなど改善余地を発見。
-
品質/スパムアップデート:https://blog.google/products/search/google-search-update-march-2024/
-
Search Status Dashboard:https://status.search.google.com/summary
クイックリファレンス(チートシート)
- どのクエリが流入を生むか?CTR/順位は?
- Search Console → Performance(Search/News/Discover)
- ページXはインデックス済み?理由は?
- Search Console → URL検査 + ページのインデックス登録レポート
- ページの速度/使いやすさは?
- PageSpeed Insights診断 + GSC → Core Web Vitals
- 製品ページはリッチリザルト/Shoppingの適格か?
- GSC → Merchant listings/Products;Rich Results Test;Merchant Centerフィードの状態
- 来訪後にユーザーは何をする?
- GA4(集客、イベント、CV;Google organicでセグメント)
よくある落とし穴
- 近道の「ハック」(リンクスキーム、PBN、薄い/自動生成コンテンツ)。近年のスパム対策で抑制対象。
- 廃止/限定的なリッチリザルト(HowTo/FAQ)に依存。戦略の軸にしない。
- INPの無視(インタラクティビティ指標)。良いFIDに隠れた悪いINPに注意。
- モバイル体験の弱さ、モバイル/デスクトップ内容の不整合(モバイルファースト)。
- プライバシー/同意(EEA)の軽視。Consent Mode v2を実装して同意に応じた計測を確保。
- SEOをやり切り型で終える。GSC/GA4の示唆で四半期ごとに反復。
変更・ポリシーの参考:
- 品質/スパム更新(2024年3月):https://blog.google/products/search/google-search-update-march-2024/
- HowTo/FAQの変更: https://developers.google.com/search/blog/2023/08/howto-faq-changes
- How‑To完全撤廃(まとめ): https://www.searchenginejournal.com/google-completely-removes-how-to-rich-results/496479/
- Consent Mode v2: https://developers.google.com/tag-platform/security/guides/consent
基本概念:「タグ」とは?
ウェブの分析/マーケで言う「タグ」は、サービス(AnalyticsやAdsなど)へデータを送る小さなJavaScriptです。
- GA4 → タグ必須。例:Measurement ID(G‑XXXXXXX)付きの
<script>
でPV/イベント/CVを計測。 - Google Tag Manager(GTM) → 複数タグをコード改修なしで管理するコンテナ。
- Search Console → タグ不要。DNS TXT/HTMLファイル/
<meta>
でサイト所有権を確認すれば、検索/インデックスのデータはGoogle側で収集されます。
手順の順番(新規サイト)
1)Search Console
- 所有権を確認(DNS TXT推奨)、サイトマップ送信、ページのインデックス登録を確認。
- ブロック(noindex、robots.txt、canonical)を解消し、必要に応じて再クロール依頼。
- 重要URLを検査し、大幅更新後はインデックス登録をリクエスト。
2)GA4(+ 任意でGTM)
- GA4タグを設置(またはGTM経由)。1〜3件のコアCV(登録、購入、デモ申込)を定義。
- EEA向けならConsent Mode v2を実装(多くはCMP + GTM経由)。
3)Google ビジネス プロフィール(ローカルの場合)
- 作成/請求して検証、カテゴリ・営業時間・説明・写真を整備。レビュー施策を開始。
4)Merchant Center(製品がある場合)
- Product/Merchantの構造化データを実装、MCを設定、無料掲載に参加、GSC→Merchant listingsを監視。
5)レポーティング
- Looker StudioでGSC + GA4をブレンドし、クエリ・CTR・CVを可視化。
次のアクション
- 重視する面を決める(検索のみ?ローカル?製品?)。
- 完全オンライン/グローバルなら、SEO + GA4計測を優先(GBPは任意)。
- 地域/対面要素があるなら、GBPとローカルSEOの基本を最適化。
- アドオン/ハード/グッズを売るなら、Merchant Center + schemaで可視性を確保。
- 全員に:Googleの更新を追う。基礎が強ければ変化に適応しやすい。
用語集
- Google Search Console(GSC)— 検索アナリティクスとインデックス健全性(サイト側タグ不要)
- Google Analytics 4(GA4)— イベント型アナリティクス(タグ or GTM必須)。エンゲージメント/コンバージョンを計測。
- Google ビジネス プロフィール(GBP)— 検索/マップ上のビジネス情報。ローカルの信頼/可視性を向上。
- Google Merchant Center(GMC)— 無料掲載やShopping向けの製品フィード。適格性とポリシー準拠を監視。
- 構造化データ / schema — JSON‑LDでのマークアップ。リッチリザルトの有効化。ページ内容の事実反映が必要。
- Core Web Vitals(CWV)— LCP/INP/CLSの良好しきい値。
- XMLサイトマップ — URL一覧で発見性を向上。GSCへ提出。
- robots.txt — クロール制御(インデックス制御ではない)。非公開はnoindex/認証で。
- Google Tag Manager(GTM)— 複数タグをリリースなしで管理するコンテナ。
- Consent Mode — 同意状況に応じてGoogleタグを調整。EEAで極めて重要。
- Looker Studio — GSC/GA4をブレンドしてKPIを可視化する無料ダッシュボード。
参考リンク
- 検索エンジンシェア — Statcounter:https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share
- Google Search Essentials(旧ガイドライン):https://developers.google.com/search/docs/essentials
- ローカル順位向上のヒント: https://support.google.com/business/answer/7091
- 無料の商品掲載 — Merchant Center ヘルプ: https://support.google.com/merchants/answer/13889434
- 製品バリアントの構造化データ対応: https://www.schemaapp.com/schema-markup/google-expands-structured-data-support-for-product-variants/
- キーワードプランナーの使い方(Adsヘルプ): https://support.google.com/google-ads/answer/7337243
- Core Web Vitalsとは(INPがFIDを置換): https://www.tuurbo.ai/speed-performance/what-are-core-web-vitals/
- 低品質/スパム対策アップデート(2024年3月): https://blog.google/products/search/google-search-update-march-2024/
- HowTo/FAQの変更(2023): https://developers.google.com/search/blog/2023/08/howto-faq-changes
- How‑To完全撤廃のまとめ: https://www.searchenginejournal.com/google-completely-removes-how-to-rich-results/496479/
- GBPのメッセージ/通話の変更(背景): https://wiremo.co/blog/google-business-profile-messaging/
- Google Search Status Dashboard: https://status.search.google.com/summary
- ウェブサイトでのConsent Mode設定: https://developers.google.com/tag-platform/security/guides/consent